―― ぬしは逃げた ――
『私に繋がることの出来る存在は非常に限られている。ジャスティス、テンペラント、そしてクラリス。三人の女性がそれぞれの私を認識させる。このルールに則ると、ジャスティスに次を回す事は叶わない。テンペラントはケセドでの調整とその後の予定を鑑み、差し控えよう。消去法を用いると共に、リストの流れを追うにはクラリスが最適と判断する』
「やーんもー」
思わずフールの真似をするクラリスであった。
調整が終盤を迎え、微調整とシートに座ったところ、これである。
その場にいたハーミットとテンペラントもその言葉を聞き、思わず唖然としたものだった。
――リストとレコーダーと説明書を送る。
と同時に、スリットが開き次々に見覚えのあるそれらが出てきた。
「あーん、もう二度とないと思ったのにー」
泣き言は受け入れることはなく、そこで唐突に接触は終わった。
「ぬしに逃げられたの」
ひょっひょっひょっと笑うハーミットを睨みつけ、
「元々はあなたとジャッジメントが企んだことでしょう? 『エイダム』も、その辺理解してお鉢をこちらに回さないで首謀者に回しなさいってのよ」
「ジャッジメントはお前が回したばかりじゃろ?」
「あーんもー」
「しかたないの」
嬉しそうに笑うハーミットに、どうやったらこの悔しさを理解させようと考えるが、リストの次は無常にも『ルパートさん出番です』である。
そして、残念ながらルパートと言う名前に心当たりがあるクラリスであった。
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